みやぎグリーンウォーカー

第4回 日本紙パルプ商事株式会社 東北支社

日本紙パルプ商事株式会社さん 青葉通のケヤキの緑もだんだんと濃くなり、暖かい日が続くようになりました。インタビュー当日もそよそよと風の吹く気持ちのいい気候でした。
 今回は、日本紙パルプ商事株式会社の西村信也さんと水野浩和さんにお話を伺いました。日本紙パルプ商事の主な事業は紙専門の代理店業です。一言で「紙」と言っても、新聞用紙や印刷用紙、コピー用紙、包装用紙や段ボール、紙容器、トイレットペーパーやティシュペーパー、原料となるパルプや古紙など、その種類はさまざまです。日本紙パルプ商事は、製紙メーカーや印刷会社など、紙に関係するあらゆる 事業者を結び、25,000種以上あると言われる紙に対して、関連するあらゆる事業を行っています。


製紙業界のパイオニアとして―流通事業を越えた取り組み

日本紙パルプ商事株式会社さん 日本紙パルプ商事は、紙を軸としてさまざまな事業を展開しています。製紙メーカーで造られた紙を印刷会社など各種関連事業者に流通させることはもちろん、紙の原料となるパルプを仕入れて製紙メーカーに提供したり、古紙循環システムを作って古紙の回収と提供をしたりしています。また、国内の売買だけでなく、アジアやアメリカに拠点を置き、パルプ、紙、古紙の輸出入も行っています。
 さらに、紙業界のさまざまな場面に関わる立場として、情報システムの開発や、製品としての紙へのさまざまな提案も積極的に行っています。例えば、より軽い紙の開発。カタログなどを郵送する時、同じページ数でも、紙が軽ければそれだけ郵送料は安くなりますし、輸送にかかるエネルギーも少なくて済みます。例えば、芯のないトイレットペーパー。私が子供の頃にはすでに登場していて、私にとっても馴染みのある商品なのですが、実はこの商品は日本紙パルプ商事からの提案で開発されたもので、日本紙パルプ商事はこの商品の特許も持っています。このように、日本紙パルプ商事の事業は流通だけにとどまりません。「企画提案の無い流通はただのブローカー。紙に付加価値をつけて販売してこそ紙専門商社。」という西村さんからは、紙業界に対する熱意と責任を感じました。

 日本紙パルプ商事の環境に対する取り組みとしては、前述でも紹介しましたが、古紙の再資源化事業があります。関東、関西、中部、九州、東北、北海道およびアメリカに回収拠点を置き、各地のニーズに応じた古紙の回収と供給ができる体制を確立しています。ちなみに、日本紙パルプ商事の古紙取扱量は日本でいちばん多いそうです。
  また、製紙会社などと協力して、植林事業も行っています。これは、オーストラリアで成長の速いユーカリを毎年計画的に植林し、成長したものから伐採していくというもので、森林の管理と持続的な利用が見込まれています。最初の伐採は、2009年から始まる予定だそうです。
 それに、製紙会社と提携して、間伐材や廃材を利用したバイオマスエネルギーにより製紙工場内で使用する電力の一部を供給するという事業が、2007年6月から岐阜県で開始されます。

環境にやさしい産業、製紙業

 言うまでもありませんが、紙は木からできています。そこから、「紙を造るためには木を切らないといけないから、紙を造るのは環境によくないことだ」というイメージを持っていないでしょうか?ところが、お話を聞いていると、製紙業というのは、実はなかなかエコな産業であることが分かってきました。
 まずは、原料となる木ですが、紙に使われている木材のほとんどは、伐ったままの原木から建材を採ったあとの端材や、森林管理のために伐採された間伐材だそうです。つまり、紙を造るために使われている木材は、「捨てるはずの木」や「伐らなければならない木」だということになります。このことは、今まで「紙」という言葉と結びついていた、「ブルドーザーが森の木をバキバキとなぎ倒していく」というイメージとはまったくかけ離れたものでした。
 また、「紙」と「環境」という2つの言葉を聞いて、真っ先に思い浮かぶのが「再生紙」なのではないかと思いますが、実は、世間で環境問題が取り沙汰されるそのずっと前から、製紙業界は再生紙を造り続けてきたそうです。ただ、製紙会社は、古紙配合率を公表していませんでした。その理由を聞くと、「古紙を脱墨する過程のコストが掛かる割には当時の古紙の価格相場は低く、イメージで価格の下落となるから」。今でこそ古紙の再利用は当たり前のこととして受け入れられていますが、リサイクルという言葉そのものがなかった頃には大反対されそうです。世の関心が環境問題に注がれるようになってからは、一転して「再生紙」「古紙○○%配合」とアピールし始めたと言うから、面白いものです。
 さらに、木材からパルプを作る時に、「リグニン」という有機物質が出るそうなのですが、この「リグニン」は燃料にすることができるのだそうです。リグニンを使えば、紙を造るためのエネルギーの三分の一をリグニンでまかなえるそうです。リグニンは木材由来の物質ですから、バイオマスエネルギーということになります。また、リグニンを燃料として利用することは、利用可能なエネルギーを無駄なく効率的に使うコージェネレーションシステムの一環とも言えます。
  これらの環境によい要素は、どれも「そうしようと思ってそうしている」ことではなくて、「もともとそういうものだからそうしている」ことです。もしかしたら、紙を造るということは、地球環境と馴染みやすいことなのかもしれません。

これからの時代に求められる紙とは

 環境問題とともに再生紙の需要が生まれたことから分かるように、社会の変化とともに紙に対する要求も変化してきました。例えば、20年前には、ごみ問題に対する関心が高まり、利用可能な資源はリサイクルすることが重要視されました。そこで、古紙を利用した再生紙が注目されることになりました。それが、10年ほど前、ダイオキシン問題が大きく取り上げられるようになると、ダイオキシン発生の原因となる塩素漂白をできる限り抑えることが重要になりました。
 それでは、これから求められていく紙とはどんなものでしょうか?いま私たちが抱えている問題は、「地球温暖化」です。その解決のためにCO2排出量の削減などを中心とした早急な対策が求められています。こういった状況の中で、ぴったりの紙があると言います。それは、「バージンパルプ配合紙」です。バージンパルプとは、木材を加工した新品のパルプのことです。前述でも触れたように、パルプの副産物としてリグニンができるので、それを使えば、古紙を使って紙を造る時の80%のエネルギーで紙を造れるし、漂白も古紙を使う場合よりも少なくて済むそうです。また、使う木材も、植林などにより計画的に管理された森林のものを使えば、環境負荷を最小に抑えることができます。古紙だけから紙を作る場合には、多量の漂白剤を必要としますし、エネルギー問題も解決されません。これからの時代に求められる紙は、古紙100%の再生紙ではなく、持続可能な管理された植林によるバージンパルプを配合した紙なのです。
 西村さんは、「バージンパルプ配合紙をどんどん広めたい」と言います。ところが、「古紙100%の再生紙がいちばん環境によい紙だ」という考えがまだまだ強く、バージンパルプ配合紙の需要はなかなか伸びないそうです。今の古紙はどんどん中国に流れて確保が難しく、このままでは古紙を十分に供給できなくなるかもしれないと言います。「できるだけたくさんの人にバージンパルプ配合紙が環境によい紙だと知ってもらい、古紙100%配合再生紙からバージンパルプ配合紙に切り替えて欲しい」と、痛切に訴えていました。

■ 感想

 実は私も、今回の取材に携わるまでは、「再生紙は古紙100%が一番環境にやさしいものだ」と思っていました。しかし、それ自体ではCO2量を減らすことのない(=温暖化問題を解決できない)古紙による再生紙の生産よりも、CO2を相殺するカーボンニュートラルの理論を取り入れたバージンパルプ配合紙のほうが環境にやさしいと知り、製紙業が常により良い方向に進化しているのだということを感じました。カーボンニュートラルの理論と、バージンパルプ配合紙の有効性がもっと広まってほしいと思います。
 また、余談ですが、日本紙パルプ商事さんが紙の代理店としてだけでなく、実にさまざまな事業を行っているという事を知って、驚きました。一口に製紙業といっても、そこから展開して色々な分野に結びつくのだという事がわかりました。常に時代の流れを把握しているからこそ、さまざまな事業を展開することができるのだと思います。
 私たちも、時代とともに変わる環境のニーズを常に把握し、今一番環境にやさしい仕組みとは何なのかを考えて行動しなければならないと感じました。
(大友美里)

 今回インタビューを受けていただいた日本紙パルプ商事は、自分の生活にとても身近な「紙」を扱う会社ということで、身の回りで使われている紙のことをたくさん聞かせていただきました。特に興味があったのは、分別され回収されていった古紙がどうなっていくのかということでした。お話によると、回収された古紙はいったん日本紙パルプ商事グループの古紙再資源化事業会社などに集められるそうなのですが、その過程で、プロの業者さんが手作業で紙を分別していると言います。その理由は、古紙は古紙でも、その種類ごとに造られる紙が違うので、さらに分別が必要だからということと、回収された時点で分別が徹底されていなくて、不純物が混じっていることがあるからだそうです。膨大な量の古紙を分別する業者さんの苦労を思うと、その手間を少しでも軽くするために、紙の分別をこれまで以上にしっかりしなくてはと思わされました。
 お話を聞いていて印象的だったのは、「誰がやる、誰に言われたというのではなく、自分自身でポリシーを持ち、自分を厳しく律していかなければならない」という意見でした。すべての人がこういう態度を持っていれば、自然と社会もいい方向に向かっていくのではないでしょうか?日本紙パルプ商事でも、紙産業を持続可能なものにするために、植林事業や持続可能型社会に合った「バージンパルプ配合紙」の普及を率先して行っています。また、ISO14001も取得し、それ以上に厳しい基準を自社で設けて実行しています。インタビューを終えて、持続可能な社会のために、「律する」とまではいかなくても、何か自分にできないかもっと考えてみようという気持ちになりました。
(丸山浩司)

取材メンバー自己紹介
大友美里

東北大学文学部社会学専修二年
環境問題に関する企業の取り組みに興味があり、参加しました。インタビュー経験はこれが初めてですが、頑張ります!


前のページへ戻る>>


ページの先頭にもどる

Copyright (C) 2006 Miyagi Green Purchasing Network. All rights reserved.
掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます。
リンクについて