みやぎグリーンウォーカー

第5回 協業組合 仙台清掃公社

協業組合 仙台清掃公社さん モノは、作られて流通し利用された後、いつかは捨てられて処分されます。確かに、利用できる長さに違いがあったり、少しの加工でリサイクルが可能だったりします。しかし、永久に使えるモノはほとんどありません。いつか、最期の処理を行う必要があります。

 この「ゆりかごから墓場まで」のサイクル全体から発生する環境負荷をより小さくする購買活動が「グリーン購入」と言えます。

 今回は、生産の反対側「廃棄」にたずさわる、協業組合仙台清掃公社にお邪魔させていただきました。理事長渡邉浩一さんと総務部部長橋本安則さんに取材を受けていただき、飛び入りで常務理事加藤義政さんにもお話を伺いました。


変化するごみ処理現場

 「商品のライフサイクルの最期である『ごみ処理』は、本来は生産者が責任を持つべきです。ゆくゆくは、一般ごみの収集・運搬事業が必要ない社会になるのが理想でしょう。」ゴミ収集業務が無くなれば、次は商品ライフサイクルのコンサルタント事業でもやりたい、と言います。
  組合にとって「中心事業」であるはずの収集・運搬業務に対して、一歩距離を置いたビジョンを持つ。その理由は、社会や技術の変化に対応し続けてきた組合の経緯にあります。

 仙台清掃公社のおもな事業は、家庭ごみや事業ごみの収集・運搬です。仙台に住んでいる人であれば、一度は仙台清掃公社の収集車を見たことがあるでしょう。

  仙台清掃公社はもともと、仙台市でし尿の汲み取りをしていた企業6社が、水洗施設の普及にともない事業を切り離して統合したのがはじまりです。ところが、水洗便所の普及に伴い、し尿くみ取り業務は減少。それを受けて事業を移行し、現在はごみの収集・運搬事業を市から委託を受けて行っています。一般廃棄物7割、産業廃棄物3割で、一般廃棄物の9割は仙台市から集めます。

  過去に一度事業の大転換を迫られたことに加え、現在も事業内容の見直しを常に求められます。ごみ処理の環境負荷の最小化をしつつ、コストを低く抑えること。ごみ収集・運搬事業で仙台市から委託を受け続けるためには、このふたつを両立する必要があります。そこで、ゴミ処理の新技術は惜しまず導入しなければなりません。

LCAを考慮に入れたリサイクルを

 「コストを度外視すれば、現行の技術でも、回収した一般ゴミの8割はリサイクルできます。」もちろん本当に実行すれば膨大なコストがかかりますが、ゴミ処理の技術革新はそれだけ日進月歩だそうです。

  しかし、「廃棄」は製品ライフサイクルのほんの一部です。ここを改善するだけでは、環境負荷低減の効果は限定的です。そして、「上流」での怠慢は「下流」のしわよせに繋がります。

  「日本のような資源の少ない国で環境負荷を小さくするには、限られた資源を小さな地域で何度も循環して利用することが理想」
そう語る渡邉さんは「LCAを真剣に考えなければならない」と言います。
LCA(Life Cycle Assessment)とは、製品の原料を調達するところから製造、流通、消費、廃棄、処理、さらに再商品化にいたるまで総合的な環境負荷を評価することです。

  LCAを怠ったために発生している問題のひとつは、燃えるゴミや廃プラスチックに塩化ビニールが混入すること。塩化ビニールを燃やすと、有毒ガス・ダイオキシンが発生するだけでなく、灰に塩が混入しセメントとして再利用できなくなります。廃プラスチックを原料としてリサイクルするときも、塩ビに含まれる塩素が混入していると使いものにならなくなります。

  「煮ても焼いても処理できない」塩化ビニールは、本来、製造段階から分別・回収・廃棄まで徹底して監視しなければいけない厄介者です。欧州ではすでに、リサイクルの難しい塩ビをそもそも造らないようにしようという動きすらあるそうです。

  わたしたち消費者も、ものを買うときに「これは処理できるのかな?」ということを考えて欲しいとのこと。生産プロセスだけでなく、その後の廃棄プロセスまで見通すことがLCAだといえます。

グローバルに移動する資源とごみ

 近年、リサイクルの世界もグローバル化の影響を受けています。その一方で、「地産地消と同様に、リサイクルも国内で循環させたほうがよいはず」と渡邉さんは言います。

  例えば、アルミ板。
国内でボーキサイトからアルミ板を作るよりも、リサイクルされたアルミを使ってアルミ板をつくった方が低価格で済みます。しかし、国外で加工されたアルミ板を輸入すると、輸入したアルミ板のほうが低価格です。しかし、リサイクルされたアルミ板は、環境負荷が最も低いのです。

 例えば、ペットボトルのリサイクル。
日本のペットボトルのリサイクル率は約70%と高いのですが、国内の再商品化事業に回すよりも海外に輸出したほうが高く売れるため、リサイクルされるペットボトルの約半数は海外に流れているそうです。

  海外から輸出入した場合、その輸送時にエネルギー消費などの環境負荷が発生します。
リサイクル原料が輸入原料に圧迫されると、アルミ缶などの資源ゴミを埋め立てるか、処理費用を高くして価格差を穴埋めせざるをえません。

  また、ゴミの流出も、多くの流通業者を介せば、それだけ処理の流れが不透明になります。すると、不適切な投棄や危険な再資源化処理をされる可能性も高くなります。

どんなごみを収集・運搬しているのか?

 今回の取材では、集められたごみがどのように処理されていくのか、ごみの種類ごとに聞きました。

■ 家庭ごみ(燃えるゴミ)

 家庭ごみは仙台清掃公社の収集車で市の焼却施設に運ばれていきます。
しかし、家庭ごみは燃やすこと以外に処理ができません。家庭ごみをいかに減らすかが、ごみ原料の大きなカギとなります。「『燃えるごみ』ではなく、(リサイクルできなくて仕方ないから)『燃やすごみ』と考えるべき」と言います。
  また、水が多い生ゴミのような燃えにくいゴミは、処理を難しくします。

■ プラスチック製容器包装

 家庭から出た廃プラスチックは、JFE環境という会社の資源化工場に運ばれてプラスチックの塊に加工され、熱リサイクルや原料リサイクルがされています。
特に原料リサイクルでは、集められた廃プラスチックは、フォークリフト等で荷物を運ぶときに使われるパレットに加工されているそうです。

■ 資源ごみ

 仙台市では、びん・かん・ペットボトル等の資源ごみは黄色いボックスに入れて回収しますが、仙台市環境整備公社がこの事業を請け負っています。
仙台市環境整備公社が収集・仕分けしたびん・かん・ペットボトル等は資源として売買されます。

  また、仙台清掃公社は家庭から出るごみだけでなく、事業ごみの収集・運搬も行っています。業ごみについて行っているリサイクルの取り組みも伺いました。

RPF製造工場
 
仙台清掃公社が収集した廃プラスチックはRPF製造工場に運ばれ、RPFという燃料に加工されます。
RPFとは Refuse Paper and Plastic Fuel の略で、廃プラスチックや紙くずを利用してつくられた燃料で、廃棄物のリサイクルとなるとともに高いカロリーを持つので、代替燃料として注目されています。
この燃料は製紙工場などで積極的に使われているということです。

ミックスペーパー回収
  仙台清掃公社は事業から出る紙類をミックスペーパーとして回収しています。
近年では工場の異物除去技術が進歩して、汚れのひどいものや油紙など一部のものをのぞいてほとんどの紙がリサイクルできるそうです。
数年前はただ燃やされてしまっていた紙コップや感熱紙、写真やシュレッダーにかけられた紙くずもリサイクルできます。

  仙台清掃公社は、事業ごみからだけでなく、家庭ごみでも紙類を分別してミックスペーパーのように回収できないかと考えているそうです。
仙台市とも話し合い、これまで実施されてきた集団資源回収だけでなく、一部の集積所で紙類を回収してみるなど、試行錯誤が続いているようです

■ 感想

 「家庭ごみのリサイクル率100%も、イノベーションによっていつかは可能になる。」
という話を聞いたとき、「それは本当に良いことなの?」と思いました。
リサイクルができるのならどんどんごみを出しても問題ない、そんなロジックも作ることができます。しかし、同じ「リサイクル」でも、その製品ライフサイクルから発生する環境負荷は、製品の種類やリサイクル方法によって異なります。
  より環境負荷の少ない製品ライフサイクルをデザインするためには、最下流の「ごみ処理」だけではなく、より上流の「消費」「生産」も努力しなくてはいけない。今回のお話で一番大切だったのは、この点だったと思います。
  店舗に並ぶ製品を見て、生産から最終処理まで、そのライフサイクル全体を想像すること。それがグリーン購入の本質だと思います。今回の取材では、グリーン購入の話題はほとんど出ませんでしたが、そのようなことまで考えさせられました。
(吉良洋輔)

 取材の中で、生業であるごみの収集・運搬事業が将来的になくなることを目指し、その一歩としてごみ減量のために試行錯誤する姿がとても印象的でした。あるべき未来を明確に見据えているためにそういったことができるのでしょうが、それにしても成長のヴィジョンを持つということはよくあっても、衰退のヴィジョンを持ってしかもそれに積極的に取り組むという事例には触れたことがなく、新鮮な思いでした。
  自分の生活を振り返ってみると、原料に気を遣ったり不必要なものをやたらと買わないようにしたりと、「生産」や「消費」に眼を向けることはあっても、「廃棄」に関してはごみの分別をするくらいで、それ以上に何かをするという発想がありませんでした。しかし、取材でお話を聞いていて、理想の循環型社会では「廃棄」と「生産」が繋がっていなくてはならないし、そのためにやらなければならないことはまだまだあるのだということに気づかされました。生産者も消費者も、「生産」にできるだけストレートに繋がるような「廃棄」のあり方をしっかりイメージして生産活動や消費活動をして欲しいという渡邉さんの意見には目からウロコが落ちる思いでした。
  自分が捨てているものを改めて考えてみると、そのまま自然に還せるもの、また自分のもとに帰ってくるものは堆肥化している生ごみやびん・かんくらいで、何度も循環させられるものが意外と少ないことに驚きました。これまで自分ではエコなライフスタイルを目指してきたつもりでしたが、まだまだ理想とは程遠いことを思い知らされます。「廃棄」というなかなか眼を向けにくい現場で真剣に取り組んでいる仙台清掃公社さんでお話を聞くことで、自分の思い上がりを自覚するとともに、「生産」に繋がる「廃棄」の実践者を目指し、よりよい消費者になりたいと思いました。
(丸山浩司)


取材メンバー自己紹介
丸山浩司

東北大学文学部倫理学専修三年
仙台は三年目ですが、過ごしやすい気候といろいろな人と話せる環境が気に入っています。環境問題に対しては、持続可能という言葉に特に興味があります。


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