みやぎグリーンウォーカー

第18回 「日本を支える〜地域建設産業の使命〜」 一般社団法人宮城県建設業協会

所在地 仙台市青葉区支倉町2番48号(宮城県建設産業会館6階)
電話   022-262-2211
URL   http://www.miyakenkyo.or.jp/
取材日 平成25年8月6日

はじめに

山口善明さん  2011年3月11日に起こった東日本大震災。その傷跡は今も尚残っていますが、この2年半でたくさんの建設構造物が命を吹き返しました。
震災発生当時から今日に至るまで震災復興への大きな役割を担っている、建設業界。今回は、宮城県建設業協会の専務理事兼事務局長の伊藤博英さんに話しを伺いました。

環境に配慮した建設業

近年では建設リサイクル法が施行され、建設業界でも環境に配慮した施工が行われており、建設機械の排ガス規制への対応から、再資源化、施工段階における各種取り組み等、再資源化率100%を目指し、3R「リデュース、リユース、リサイクル」を実践しており、コンクリート塊の再資源化率は98%にまで上昇しております。「東日本大震災」後においても、震災ガレキのリサイクルに最大限努めており、津波で発生した大量のヘドロについても、海岸堤防に活用する等の取り組みがなされております。
環境マネジメントシステム

“3A運動”

 宮城県建設業協会では“3A運動”を掲げ、精力的に取り組んでいます。3A運動とは「安全に・明るく・あたたかく」を目指すものです。建設業の3K、いわゆる「危険・汚い・きつい」という昔からのイメージを打破するために始められた運動で、労働環境を整え、働きやすい環境づくりに取り組んでいます。この3A運動は建設業に携わっている「人」を大切にしようという取組みであり、建設業で働く労働者が雇用環境に対する不安を感じることなく、安心して働けるよう、追求しています。
環境マネジメントシステム

震災時の取り組み

学生の環境マインドの育成  自らも被災しながら、人命の救助、救援、復旧のために貢献した建設会社が多数ありました。地元の建設会社では、震災時に辺り一面を覆ったガレキから道路を啓(ひら)く「啓開」や「人命救助」、「物資の輸送」、「ガレキ処理」、「復旧工事」、「仮設住宅の建設」、あまり報道されていませんでしたが、「仮埋葬」、「水産加工物の海洋投棄」など多岐にわたって復興のために尽力されました。宮城県建設業協会では、平成10年に宮城県と災害協定を締結し、平成22年に見直し改定を行うとともに、定期訓練を実施していたことから、いち早く道を啓き、救援部隊の移動、物資輸送、人々の避難が迅速に行うことができ、建設業なくしては今日までの復興は出来なかったでしょう。

震災時の取り組み事例:啓開活動

日本紙パルプ商事株式会社さん  自衛隊の献身的な救援活動が注目されましたが、どうやって自衛隊は被災地域へ入ることが出来たのでしょうか。それは、地元建設業者が迅速に道を啓く「啓開」活動があったからでした。
 「啓開」とは、ガレキや段差で通れなくなっている道路一車線分を緊急車両のみでもとにかく通れるように、ガレキを撤去するなどし、救援ルートを開くことです。
 緊急車両を通行可能にし、救援物資をいち早く届けるために、国道4号を軸に太平洋沿岸部につながる道路を“くしの歯”状に切り拓く「くしの歯作戦」が行われました。災害協定により協会会員が道路などのパトロールを直ちに行いましたが、東北地方整備局との災害協定にもとづくパトロールとは、会員企業が予め区割りされた担当する国道について、震度5弱以上の地震が起きると自主的に2時間以内に道路や橋などの損壊箇所がないか点検し、管理者に報告するものです。これらの活動により、国道45号・6号は被災から1週間で97%啓開することが出来ました。

日本紙パルプ商事株式会社さん  「自衛隊が現場に入った時にはすでに、地元の建設業者が活動していました。作業は民間のオペレーターたちと組んで進めましたが、やはり地元の建設業者の技術、技量の差をすごく感じました。」と自衛隊の方がそう話していたそうです。
 一方、海上でもこのような啓開活動は行われ、震災直後の混乱の最中いち早く石油タンカーを塩釜港に入港することを可能にしました。被災地では石油燃料が枯渇し、タンカーの入港は急務となっていました。当時作業を担当した方は、とにかくそのガレキ量に目を疑いましたが、海上での啓開活動により、被災地の復旧はスピード感を増しました。
 このように迅速に対応出来たのは、その地域に根ざしている建設業者ならではの特色であると感じました。一面を覆いつくしたガレキの山から道を啓くことで、人々の命の導線を繋ぎとめることが出来たのです。

震災についての取り組み事例:仮埋葬・水産加工品の海洋投棄

日本紙パルプ商事株式会社さん  震災直後、ありとあらゆる設備が機能停止に追い込まれた被災地では、葬儀場の機能までもが奪われた状況にありましたが、震災の被害によって亡くなられた方々のご遺体が日々安置所に運び込まれ、ご遺体の状態やご遺族の気持ちを考慮した結果、仮埋葬という方法で事態の収拾を図るに至りました。行政からの要請により協会組織で対応し、重機を使い埋葬用の穴を掘り、木製合材を使って棺桶を作り、ご遺体を埋葬しました。火葬場が稼働し始めると、ご遺体をもう一度掘り起こしご遺族の元へとお渡しするなど、仮埋葬のほとんどを地元建設業者が担いました。

日本紙パルプ商事株式会社さん  また、被災した水産加工会社・工場などで大量に発生した水産物の廃棄処理も、受け手がなく、組織である協会に要請されました。春先にかけて工場内に放置、散乱していた水産品の腐敗が進み、悪臭に悩まされるようになり、水産品の海洋投棄が決定するも、その道のりは険しいものとなりました。冷凍庫の側壁を重機で取り壊したのはよいものの、水産物が海に捨てる事が出来ないダンボールやスチール、ビニールなどでパッケージされており、手作業での開封作業を余儀なくされたからでした。被災住民も手伝い、作業に着手しましたが、その目も開けていられないような強烈な悪臭によって作業は難航しました

取材後の感想

“震災復興”と一言で表現されますが、私たちが普段目にすることなく享受してきた日陰にあたる部分の復旧・復興作業は、現場で実際に専門的な作業を行い、気候や特徴など地域を熟知する現場のプロフェッショナル、病院で例えると町のお医者さんである地域の建設業に携わっている方々が築き上げていたものだということを再認識しました。行政との窓口となったのが宮城県建設業協会であり、協会があることに意義があります。災害など何もない時は悪玉論が出がちな建設業ですが、実は危機管理産業と言えると思います。震災当日の夜、ライフラインが途切れ、電気もない状況で、いち早く地域に灯りをともし、食事や寝泊りする場所、トイレの提供も建設業が担っていたのでした。しかし、このたびの震災に関し、マスコミには自衛隊、警察、消防だけが前面に取り上げられ、地元建設業の献身的な働きがあまり知られなかったことは非常に残念です。

取材後の感想  宮城県建設業協会への取材を通して、建設業が生活の中でたいへん密着しており、人命や暮らしを守るという大きな使命感を持って働いていると感じました。「千年に一度」と言われる東日本大震災でしたが、長期化が予想される復旧・復興にさまざまな問題が発生します。その中でも技術者・労働者の人材不足があります。私たちは、公共構造物などの社会資本がなければ生活出来ません。その社会資本を整備し、地域の人々の暮らしと命を守る大きな使命を背負い、日本を支える建設業にもっと注目すべきだと考えます。

取材メンバー自己紹介
佐藤貴大

齋藤宇成 東北学院大学 経営学部経営学科3年
趣味:スポーツ、映画鑑賞
取材に対しての抱負:
今回グリーンウォーカーの取材では、地域の建設業のありがたさを知ることが出来ました。地域の建設業で震災時とても尽力されていたことなど、あまり知ることがなかった貴重な話を聞くことが出来たので、少しでもこのことを周りに発信できたらなと思います。


長崎奈津子

小山田友梨恵 東北学院大学経済学部共生社会経済学科3年
趣味:バスケットボール、映画鑑賞
取材に対しての抱負:
普段の生活ではなかなか接点のない方に取材をさせてもらえることはとても貴重な体験なので、一回一回の取材でたくさんのことを吸収していきたいと思っています。今回の取材では震災時の建設業のさまざまな対応事例をうかがって、知らなかったことがほとんどだったので、この機会で知ることができてよかったです。私のように知らない人が多く存在すると思うので、この記事を通して少しでも知ってもらえればと思います。


小笠原悠人

劉 佳(リュウカ) 東北学院大学経済学部経営学科 4年
趣味:音楽鑑賞
取材に対しての抱負:
環境への配慮や、CSRへの取り組みが注目される昨今ですが、このようなグリーン購入の考えが広く消費者に周知・徹底されるにはまだ時間がかかるように思います。私たち学生を中心にこのような理念を拡散、実現していき、次世代の環境リテラシーの担い手として取り組んでいきたいと思います。


バックナンバー
  1. 第1回 コクヨ東北販売株式会社
  2. 第2回 富士ゼロックス宮城株式会社
  3. 第3回 東北緑化環境保全株式会社
  4. 第4回 日本紙パルプ商事株式会社 東北支社
  5. 第5回 協業組合 仙台清掃公社
  6. 第6回 トヨタ自動車東北株式会社
  7. 第7回 「いつでも見学できる処理工場を」株式会社 安部工業
  8. 第8回 原油高と直接向き合う企業 東邦運輸倉庫株式会社
  9. 第9回 「てんぷら油で車を走らせる」 株式会社オイルプラントナトリ
  10. 第10回 「EMS導入で「心構え」が変わった」 河北新報印刷株式会社
  11. 第11回 「広がるリサイクル部品のネットワーク」 株式会社三森コーポレーション
  12. 第12回 「建設業として環境に取り組む」株式会社深松組
  13. 第13回 驚きの「ライブオフィス」リコー東北株式会社
  14. 第14回 再生資源の価値、分別のコスト 株式会社 佐彦
  15. 第15回 「宮城県民の安全安心、快適な暮らしのための検査機関」(財)宮城県公衆衛生協会
  16. 第16回 「メディアパワーを有効活用して、LED普及に努める」(株)仙台放送L・E・Dソリューションズ
  17. 第17回 「大学生に伝える〜次世代の環境マインドの育成へ向けて〜」大学生活協同組合東北事業連合
  18. 第18回 「日本を支える〜地域建設産業の使命〜」 一般社団法人宮城県建設業協会
  19. 第19回 「お客様に感動される企業を目指して〜環境に優しいリサイクルとは〜」 株式会社サイコー
  20. 第20回 「私達はエネルギー消費の削減が仕事です!」 株式会社エコライフサポート
  21. 第21回 「窒素酸化物(NOx)を低減するエマルジョン燃料」 株式会社エヌ・エフ・ジー
  22. 第22回 「エコな笹氣」の継続」 笹氣出版印刷株式会社
  23. 第23回 「地域の資源循環と環境保全に貢献する仕事」 株式会社 国本
  24. 第24回 「ホテル・ショッピングセンター・農業の取組」仙台ターミナルビル株式会社

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