みやぎグリーンウォーカー

第22回 「エコな笹氣」の継続
笹氣出版印刷株式会社

所在地 仙台市若林区六丁の目西町8-45
電話   022-288-5555
URL   http://www.sasappa.co.jp
取材日 平成27年11月9日

はじめに

笹氣出版印刷株式会社
笹氣出版印刷株式会社
笹氣義幸代表取締役社長
笹氣義幸代表取締役社長
 今回は、笹氣出版印刷株式会社代表取締役社長である、笹氣義幸様にお話を伺いました。
 笹氣出版印刷さんは、大正10年に「笹氣印刷所」として国分町で創業され、当時の最新技術を用いて書籍印刷を始めました。会社と工場は印刷工業団地の一角にあり、団地内には他にも製本会社や印刷会社が集中していました。
 応接室に通され、笹氣社長と対面すると、緊張感が高まりました。
     

時代の変化に合わせて

 私が印刷業と聞いて最初に考えたことは、最近の「本離れ」や「活字離れ」という言葉でした。私自身もインターネットを使って文字を眺めていることの方が多いと感じます。ITやデジタル技術の発展の中で、どのように印刷物を残していくのか、という方向性でインタビューをしてみたいと考えていました。
 お話を聞いて印象的だったのは、笹氣社長の「印刷物とデジタル、どちらかに比重を置くということはない。状況に合わせて変化をしていくことが大切」との言葉でした。一家に一台のパソコンが当たり前になり、現在はスマートフォンが爆発的に普及しています。例えば、新聞折り込みのチラシは限定された地域、インターネットは全国に発信できるというそれぞれの強みを活かしながら、時代の変化に応じてお客様のニーズに答えることが大切と強調されていました。

通販サイト「伊達な本舗」の取組み

 笹氣出版印刷さんは、2011年6月頃から通販サイトの運用も開始しています。企画としては震災以前からあったそうで、初期のサイトの立ち上げには笹氣社長(当時は社長室長)が行ったそうです。
 デジタル分野へ進出を進めた理由は、チラシや印刷の意味を考えたから。相手が伝えたいことを世の中に広めることが印刷会社の役割であり、その新たな切り口としてインターネットを使ったビジネスを始めました。印刷は「相手が伝えたいこと」を伝える手段であり、今の印刷業は作ることだけが目的となってはいないということでした。さらに、主力商品「紙」の魅力を活かし利用してもらうのはもちろんですが、私たちの情報の取り方も変わってきています。それを理解することで紙の無駄を減らすことにもつながっていくのです。
 「伊達な本舗」では、宮城の美味しい食材や名品など、地元に密着した商品を取り扱っています。方法は違えど、常にお客様目線を忘れない姿勢が大変印象的でした。
                

環境に対する取組み

FSC(R)(Forest Stewardship Council(R)、森林管理協議会)
笹氣出版印刷で使用しているFSC認証紙
笹氣出版印刷で使用しているFSC認証紙
 「ECOな笹氣」を掲げる笹氣出版印刷さんが、ISO14001を取得したのが2004年。現会長(当時、社長)がテレビで「夢の島」(東京都)が建設されている様子を見て、その埋立地のゴミの中でも紙の多さが際立っていると感じたそうです。そして、「自分たちは捨てられるものを作るような会社でいいのか?」との思いが湧き、無駄なものは作らない方向に舵を切ったそうです。偶然見ていたテレビがきっかけになったそうです。
 それからは、国際規格であるISO14001の取得に始まり、2006年にはFSC(R)(森林管理協議会)のCOC認証(Chain of Custody)を取得しています。これは「製品が通る経路を全て辿って、FSC認証原料がきちんと識別され、他の非認証製品と分別されているかを確認するもの」です。言い換えると、自らの商品である紙の製造工程を見直すだけでなく、その原料にまでさかのぼって環境に配慮した取り組みをしているのです。というのも、紙の原料となる木材には違法伐採されているものが混入しているという現実もあり、ISOを取得している会社としては、それを黙認することができなかったからだそうです。同年にはGPマーク(グリーンプリンティング認定制度)も取得されていて、昨年は、使用頻度の高い部屋の蛍光灯をLEDにしたそうです。エコを意識した取り組みに対するスピード感からは、会長から受け継がれている思いの強さが行動に表れていると感じました。
 今のところ、新たに環境に関する取組をする予定はないとのことでしたが、PDCAを繰り返す中で課題が見つかれば取り組むそうです。笹氣社長は、会長の「気づき」を継続させていくことの重要性を強調していました。現在は多くの人にとって「エコ」が当たり前のこととなっていて、それを継続させることが企業の社会的責任にも繋がっていくと仰っていました。

※FSC(R)(Forest Stewardship Council(R)、森林管理協議会)は、木材を生産する世界の森林と、その森林から切り出された木材の流通や加工のプロセスを認証する国際機関。その認証は、森林の環境保全に配慮し、地域社会の利益にかない、経済的にも継続可能な形で生産された木材に与えられます。このFSCのマークが入った製品を買うことで、消費者は世界の森林保全を間接的に応援できる仕組みです。WWFは、世界的な持続的な森林の利用を推進するため、その普及と推進に取り組んでいます。
参照:「WWF FSCについて」 http://www.wwf.or.jp/activities/nature/cat1219/fsc/

取材を終えて

 まず、一学生である私に対して、笹氣社長は真摯に向き合ってくださいました。取材の途中では意見を求められることもあり、答えに詰まることもありましたが、貴重な経験ができました。同時に、取材の難しさを知る機会にもなりました。
 笹氣社長が一貫して「お客様目線」を貫いていたことが、とても印象的でした。自分の作るものが果たす役割を冷静にとらえた上で、どうすればお客様のニーズを満たすことができるかを常に考える姿勢は、今後私たちが社会人になる際にも意識していかなければならないと感じます。
 また、印刷物にこだわる必要はないとの姿勢は、私の予想と異なるものでした。私は、印刷業者は自社の技術に強いこだわりを持ち、デジタル化の波に対抗するようなイメージを持っていましたが、社会の変化に適応する柔軟さも大切だと学びました。
 そして、「エコが当たり前」になっていると聞いたとき、とりたてて「環境への取組みに力を入れているよ」とアピールする時代はもう終わっているのかもしれないと感じました。環境へ配慮した取り組みが自然のうちにできることが、ISOなどマネジメントシステムを導入するメリットであることを実感しました。
 紙は毎日目にするものです。笹氣出版印刷さんは紙の原料にまで注目しましたが、私たちも、日々触れるものが何でできているか、といった身近なところから考えることがエコの第一歩になると思いました。

取材メンバー自己紹介
横山 洋介

横山 洋介 東北大学文学部3年 
社会学専攻
趣味: サッカー観戦、読書
今回の取材は、急遽一人での取材になりましたが、企業の社長と近い距離でお話しする事ができる貴重な機会でした。「エコが当たり前」になっているからこそ、常に自分の生活を見つめて、改善できるところを探していきたいと思います。


バックナンバー
  1. 第1回 コクヨ東北販売株式会社
  2. 第2回 富士ゼロックス宮城株式会社
  3. 第3回 東北緑化環境保全株式会社
  4. 第4回 日本紙パルプ商事株式会社 東北支社
  5. 第5回 協業組合 仙台清掃公社
  6. 第6回 トヨタ自動車東北株式会社
  7. 第7回 「いつでも見学できる処理工場を」株式会社 安部工業
  8. 第8回 原油高と直接向き合う企業 東邦運輸倉庫株式会社
  9. 第9回 「てんぷら油で車を走らせる」 株式会社オイルプラントナトリ
  10. 第10回 「EMS導入で「心構え」が変わった」 河北新報印刷株式会社
  11. 第11回 「広がるリサイクル部品のネットワーク」 株式会社三森コーポレーション
  12. 第12回 「建設業として環境に取り組む」株式会社深松組
  13. 第13回 驚きの「ライブオフィス」リコー東北株式会社
  14. 第14回 再生資源の価値、分別のコスト 株式会社 佐彦
  15. 第15回 「宮城県民の安全安心、快適な暮らしのための検査機関」(財)宮城県公衆衛生協会
  16. 第16回 「メディアパワーを有効活用して、LED普及に努める」(株)仙台放送L・E・Dソリューションズ
  17. 第17回 「大学生に伝える〜次世代の環境マインドの育成へ向けて〜」大学生活協同組合東北事業連合
  18. 第18回 「日本を支える〜地域建設産業の使命〜」 一般社団法人宮城県建設業協会
  19. 第19回 「お客様に感動される企業を目指して〜環境に優しいリサイクルとは〜」 株式会社サイコー
  20. 第20回 「私達はエネルギー消費の削減が仕事です!」 株式会社エコライフサポート
  21. 第21回 「窒素酸化物(NOx)を低減するエマルジョン燃料」 株式会社エヌ・エフ・ジー
  22. 第22回 「エコな笹氣」の継続」 笹氣出版印刷株式会社
  23. 第23回 「地域の資源循環と環境保全に貢献する仕事」 株式会社 国本
  24. 第24回 「ホテル・ショッピングセンター・農業の取組」仙台ターミナルビル株式会社

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