みやぎグリーンウォーカー

第23回 地域の資源循環と環境保全に貢献する仕事
株式会社 国本

所在地 宮城県遠田郡美里町南小牛田字埣下85番地
電話   0229-32-2455
URL   http://kunimoto.biz/index.html
取材日 平成28年9月9日(金)

(前半)はじめに

 今回は、美里町にある株式会社 国本の本社工場を訪問しました(写真1)。
 株式会社 国本(以下、国本と略記する。)は、大崎市にエコクリーン工場を有するほか、関連会社とも連携する形で再生資源業務や廃棄物業務等を営んでいます。
 初めに、総務課 課長の本間由紀様に、本社工場をご案内いただきました(写真2)。

   
         写真1 国本(本社工場)           写真2 施設見学の様子(左端:本間由紀様)

施設案内図

       
                   図1  国本(本社工場)の施設案内図     
                    出典:小磯・谷崎が独自に作成  

施設見学@〜トラックスケール〜

 広い工場を見学するなかで最初に目に飛び込んできたものは、トラックスケールです(写真3)。トラックスケールでは、回収した資源(非鉄金属を除く)の重さを計量するとともに、爆発や火災の原因となるスプレー缶等が混入してい
ないかどうかの確認を併せて行います。

         
                 写真3 トラックスケール

施設見学A〜自動車のリサイクル〜

 引き取った使用済み自動車を解体・破砕するとともに、有用な資源として有価売却しています(写真4)。

               
                写真4 自動車リサイクル        
               

施設見学B〜段ボール・ペットボトル等の収集運搬・加工処理〜

 近隣の市町村から業務委託されている段ボールやペットボトル等を収集運搬し、加工処理を行っています(写真5)。加工処理を行うにあたり、各ステーションから回収された段ボール等を選別し、再生できないものが混じっていないかどうかを確認しています。その後、再生可能なものはまとまった形にして再生工場に出荷する一方、再生には向かないものは小さくして一般的な段ボールに混ぜています。

                  
         写真5 段ボール・ペットボトル等の加工処理         
               

施設見学C〜家庭用機器の引取、一時保管〜

 家電リサイクル法において、テレビ、洗濯機、冷蔵庫、エアコンの4品目(家電4品目)は、廃棄する人がリサイクル料金を負担して回収を依頼することになっています。家電4品目の指定引取所となっている国本では、お客様から持ち込まれたものをメーカーごとに分けて一時保管し、一定数集まるごとに鴬沢のリサイクル工場に出荷しています(写真6)。

                  
          写真6 家電リサイクル(一時保管場所)                       

施設見学D〜産業廃棄物の収集運搬・中間処理〜

 産業廃棄物(木くずと廃プラスチック)を収集運搬し、中間処理を行っています。中間処理の工程では、最終処分の前段階として選別と減容が行われます(写真7)。

          
             写真7 産業廃棄物の中間処理         
               

施設見学E〜鉄スクラップ等の選別・加工〜

 クレーンを用いて鉄スクラップ等を荷下ろしした後、天井から吊り下げている円盤型の磁石を用いて切断機まで移動させます。切断機は「ギロチン」を呼ばれており、一気に圧力を加えることで切断する仕組みとなっています(写真8)。

               
                  写真8 切断機                         

施設見学F〜非鉄金属の選別・加工〜

 鉄以外の非鉄金属(例:銅、アルミ)は、小さく分解・加工してリサイクル施設に送っています。非鉄金属は1キロあたりの単価が高価であるため、手作業で分別するとともに、1キロ単位まで計量しています(写真9)。

          
             写真9 非鉄金属の選別・加工         

小括(施設見学を終えて)

 各施設を見学するなかで、様々な機械が使われている一方、作業工程の多くの部分が手作業で行われていることを知りました。実際、国本では、収取運搬のために外出している方を含めて約30名の方が勤務しています(9名の女性社員を含む)。
 施設見学に引き続き、代表取締役の引地豊様より、国本の事業内容、経営理念、環境に対する取り組み、現在の課題と展望等についてお話を伺いました(写真10、写真11)。

                写真10 代表取締役 引地豊様(写真右)             写真11 取材の様子

(後半)東日本大震災からの早期復旧

 東日本大震災では震度6強の強い揺れにより、建物や設備に多少のずれが生じました。また、インフラが遮断されたことや、社員の家が損壊したなどの理由で、業務を再開するまでに2週間から3週間程度かかりました。

本社工場とエコクリーン大崎工場、関連会社の間での役割分担

 取扱量の9割ほどが金属くずとなっています。資源物の回収にあたっては、設備容量の大きさ等を考慮して、本社工場とエコクリーン大崎工場の間で役割分担を行っています。例えば、本社工場では資源リサイクル、産業廃棄物の中間処理のほか、家電リサイクル等の幅広い業務を行い、エコクリーン大崎工場では鋼材等のスクラップ関係を取り扱っています。なお、関連会社である株式会社 協栄は、古紙のリサイクルのみを取り扱っています。
 複数に拠点を設ける形で事業を展開する利点としては、老朽化が進んでいる本社工場のバックアップ機能を確保することのほか、回収効率の向上が挙げられます。

経営理念

 国本では、現在行っていること、行うべきことにとどまらず、将来目指したい会社の理想像を経営理念の中で謳っています(図2)。さらには、経営理念を社員や地域の方々との「約束事」として様々な場面で共有する中で、地域一体となって地域の環境問題に取り組むことに努めています。経営理念に込めた思いを語る社長の言葉からは、ものが廃棄されてから資源に生まれ変わるまでの全ての工程に事業を通じて関与することにより、地域における資源循環と環境保全に貢献するという強い意志を感じました。

                     
                           図2 国本の経営理念
                              出典:国本

地域との連携事例〜子どもの社会科見学の受け入れ、活動資金の調達支援〜

 国本が取り組む地域との連携事例として、子どもの社会科見学の受け入れと活動資金の調達支援が挙げられます。後者の具体的な取り組みとしては、集落やスポーツクラブ等が定期的に「集団回収」した古紙等を国本が買い取ることにより、活動資金の調達に一役買うことが挙げられます。
 また最近では、地域の方々から資源回収等に関する問い合わせが増えていることを受けて、Q&A(よくある質問)を作成することになっています。

環境に対する取り組み〜ISO14001の取得経緯と取り組み内容について〜

 1992年に行われた地球サミットの前後から、「持続可能な開発」を実現するための一手法として、多くの経営者が「環境マネジメント」に注目し始めました。環境マネジメントとは、リーダーシップのもとに策定される環境方針(Plan)、事業の実施(Do)、点検(Check)、見直し(Act)から成り立っており、環境対策を継続的に改善する効果的な仕組みづくりとしての役割があります(図3)。
 国本の事例に当てはめてみると、2005年6月に取得したISO14001(環境マネジメント認証システム)を実施・運用するに際して、年頭に定める経営方針や数値目標と関連付けることにより、売り上げの拡大と環境対策の推進を両立させることができています。
          
                   図3 ISO環境マネジメントシステムの基本モデル
                             出典:環境省

現在の課題と展望〜スキルアップと日常のコミュニケーションが重要!〜

 最後に、現在の課題について伺ったところ、代表取締役の引地豊様からは、「就労環境の改善」が最重要課題であるとのことでした。そして、この課題は、国本特有のものではなく、廃棄物処理業等を営む会社の多くが共通して抱える問題であるとのことでした。建設業に劣らない「きつい、汚い、危険」な作業を伴うことに加えて、(とりわけ繁忙期において)休みが少ないという就労環境からは、次代を担う若者が働きにくい実態が浮かび上がってきます。
 国本としては、今後の展望として、社員がスキルアップを図るための仕組みづくりを進めるとともに、日常のコミュニケーションをこれまで以上に大切にすることを目指しています。
 前者の意図としては、関係諸法令等への対応にとどまらず、創業以来培ってきた独自のノウハウや地域との深い関係性を社員一人一人が継承することにより、お客様から選ばれ続ける会社になる狙いがあります。
 後者の意図としては、社員数が少ないという特徴を強みに捉え、顔の見える関係を平時から築くことで、「小さな気づき」を就労環境の改善等に活かす狙いがあります。
 上記の2つの取り組みを通じて、就労環境の改善が少しずつでも図られるとともに、国本がこれまで果たしてきた地域の資源循環と環境保全への貢献が継続されることを願います。

取材メンバー自己紹介
小磯 まひろ

東北学院大学 教養学部
地域構想学科3年
専攻:平吹ゼミ
趣味:音楽鑑賞、旅行
一言:リサイクルの作業工程では、手作業が多く行われていることを知り驚きました。しかしその手作業は、事故を防ぐために重要な役割を果たしています。そのようなことから、働いている人のスキルアップも含め、コミュニケーションを大事にしていることを知ることができました。今回施設見学など貴重な体験でき、リサイクルについてもっと知識を増やしていきたいと思いました。


谷崎 佑磨

東北大学大学院 法学研究科
公共法政策専攻修士2年
専攻:防災政策
趣味:卓球、読書趣味:
一言:国本での取材を通じて、事業内容にとどまらず、目指すべき姿、現在の課題と今後の展望等、多くのことを学ぶことができました。そのうえで、地域の資源循環や環境保全に貢献する企業を応援するために私たちができることについて、少しずつ考えていきたいと思います。


バックナンバー
  1. 第1回 コクヨ東北販売株式会社
  2. 第2回 富士ゼロックス宮城株式会社
  3. 第3回 東北緑化環境保全株式会社
  4. 第4回 日本紙パルプ商事株式会社 東北支社
  5. 第5回 協業組合 仙台清掃公社
  6. 第6回 トヨタ自動車東北株式会社
  7. 第7回 「いつでも見学できる処理工場を」株式会社 安部工業
  8. 第8回 原油高と直接向き合う企業 東邦運輸倉庫株式会社
  9. 第9回 「てんぷら油で車を走らせる」 株式会社オイルプラントナトリ
  10. 第10回 「EMS導入で「心構え」が変わった」 河北新報印刷株式会社
  11. 第11回 「広がるリサイクル部品のネットワーク」 株式会社三森コーポレーション
  12. 第12回 「建設業として環境に取り組む」株式会社深松組
  13. 第13回 驚きの「ライブオフィス」リコー東北株式会社
  14. 第14回 再生資源の価値、分別のコスト 株式会社 佐彦
  15. 第15回 「宮城県民の安全安心、快適な暮らしのための検査機関」(財)宮城県公衆衛生協会
  16. 第16回 「メディアパワーを有効活用して、LED普及に努める」(株)仙台放送L・E・Dソリューションズ
  17. 第17回 「大学生に伝える〜次世代の環境マインドの育成へ向けて〜」大学生活協同組合東北事業連合
  18. 第18回 「日本を支える〜地域建設産業の使命〜」 一般社団法人宮城県建設業協会
  19. 第19回 「お客様に感動される企業を目指して〜環境に優しいリサイクルとは〜」 株式会社サイコー
  20. 第20回 「私達はエネルギー消費の削減が仕事です!」 株式会社エコライフサポート
  21. 第21回 「窒素酸化物(NOx)を低減するエマルジョン燃料」 株式会社エヌ・エフ・ジー
  22. 第22回 「「エコな笹氣」の継続」 笹氣出版印刷株式会社
  23. 第23回 「地域の資源循環と環境保全に貢献する仕事」 株式会社 国本
  24. 第24回 「ホテル・ショッピングセンター・農業の取組」仙台ターミナルビル株式会社

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