みやぎグリーンウォーカー

第26回 ニーズを捉えろ! アイリスオーヤマのモノづくり
アイリスオーヤマ株式会社

所在地 【本社】宮城県仙台市青葉区五橋2-12-1
      【角田I.T.P./角田工場】宮城県角田市小坂上小坂1番
電話   【本社】022-221-3400
       【角田I.T.P./角田工場】0224-68-3400
URL   http://www.irisohyama.co.jp/
取材日 平成29年6月29日(木)

はじめに


本社
角田市にある角田I.T.P/角田工場にお邪魔しました。

全体
総務部長の本間勝様です。
お話がどんどん展開されますが、
明快で本当に分かり易いご説明でした。
自分も見習いたいと思いました。

 
 2017年、第1回目の「グリーンウォーカー」は、アイリスオーヤマ株式会社(以下、アイリスオーヤマ)にお話しを伺いました。アイリスオーヤマは1971年に設立され、園芸用品や日用品、インテリア、LED、家電等々、生活に関わる多種多様な商品の企画・製造・販売を行っています。本日はアイリスオーヤマ株式会社総務部部長本間勝様にお話をお伺いすることができました。お忙しい業務の合間を縫った短時間の取材でしたが、アイリスオーヤマが持つ商品開発に対する思いや、どのようにして商品が誕生するのかその秘訣を聞くことができました。







モノづくりのモットー



  アイリスオーヤマは生活に関わる様々な商品を提供していますが、近年ではエアコンのような、他社が上手くいっていないような商品を開発し、成功を収めています。そこで、モノづくりを行う上でのモットーをお聞きしました。  アイリスオーヤマはモノづくりを行う上で、「負けの理由を徹底的に洗い出すこと」「生活者サイドの視点に立つこと」、この2つの信念を大切にしています。

畑
こちらで用意した質問に対して、図などを使い
丁寧に分かり易く説明しながら、ご回答頂きました。


 はじめに「負けの理由を徹底的に洗い出すこと」についてです。勝負事に「負けに不思議の負けなし」と言われるように、モノづくりにおいても、もしその商品が売れなかった時、そこには必ず理由があります。「商品が売れていない」、その理由を徹底的に洗い出すことで、売れる商品を開発することにつながるとのことでした。
PDCAサイクルを例に挙げると、通常モノづくりの場合、「どのような商品を作りたいか」というように、Planから入ることが大半です。しかし、「なぜこの業界では○○という商品が売れていないのか」に注目し、Checkからモノづくりを始めることが商品開発において重要だと仰っていました。
 次に、「生活者サイドの視点に立つこと」ですが、商品の価格は、材料費、工賃、儲け等々を合計して決められますが、アイリスオーヤマのモノづくりは、消費者が「○○○という特徴を持つ商品なら、どのくらいの値段で買いたいだろうか」、という考えからスタートします。これは、アイリスオーヤマの商品の3つのコンセプトである、「シンプル」「エコノミー」「グッド」につながります。これは、最高品質の商品を追い求めるのではなく、消費者が買いたくなる十分な機能と値段を持っている商品を作ることを指しています。
アイリスオーヤマのモノづくりは、負けの理由を探すことと、生活者に寄り添うことの2つから始まっていることが分かりました。

食品事業への参入


  続いて、食品事業についてです。2013年にグループ会社として、アイリスフーズ株式会社を設立し、食品事業へ本格的な取り組みを始めています。なぜ、アイリスオーヤマは食品事業へ参入したのでしょうか。  その出発点は、2011年に起こった東日本大震災にあります。震災が発生したことで、東北地方の農業は震災の直接的な被害、風評被害といった間接的な被害を受け、疲弊しました。農家の方からは、「どうにかならないだろうか。」というような声が聞こえてきました。その声から、取り組みが始まりました。  現在、アイリスフーズはお米の他に、ミネラルウォーターやトウモロコシのひげ茶といった商品も販売しています。宮城県内だけでなく、フィジー共和国や韓国で生まれた商品です。これらの商品の販売は、地域からの依頼により始まりましたが、それまで活用されてこなかった地域資源の有効利用や地域経済の活性化につながっています。  生活用品の開発・販売を主に行っているアイリスオーヤマですが、アイリスフーズの事業も農家や地域で暮らす人々の生活との関わりから誕生した事業だと言えます。

トマトハウス 
本間部長のテンポが良くて、時には冗談を交えての説明に思わず破顔してしまいました。
(写真・奥は、東北大学の高橋弘教授です。)











地域貢献活動


   先述したお米や飲料水の取り扱いは、農家や採水地に対してのある種の貢献活動という側面も持ち合わせています。加えて、CSRとしても地域貢献活動に取り組んでいます。 1つは、仙台市の環境学習施設である「たまきさんサロン」で開催される親子向け講座に対する協賛です。自社製品である園芸用品(鉢)は、今回、取材でご一緒した東北大学環境科学研究科教授高橋弘先生が開催する「土をリサイクルする」という体験講座(※1)で使用されます。 また、アイリスオーヤマは宮城県の「エコフォーラム(※2)」に参加している企業であり、近隣の企業と「角田あぶくまエコフォーラム」を組織しています。各企業の環境への取り組みに関する情報交換を行うと共に、河川の清掃やカーブミラ ーを磨くことを通して、地域の環境や安全を守ることに取り組んでいます。
シェフ説明
東北大学の高橋先生からもご質問が飛び出します。











※1 昨年開かれた講座の様子 http://www.kankyo.tohoku.ac.jp/news/activity/a20160507.html
※2 エコフォーラム…近隣や同業種の事業所が集まって、環境配慮行動に関する情報交換を行う場。平成29年6月現在、県全体で107事業所が参加している。

ニーズを捉えろ!


   モノづくりを行う上で、ニーズを知るということは必要不可欠です。アイリスオーヤマはどのような手段で消費者のニーズを調べているのでしょう。その1例を記します。  お米の販促イベントに来た1人の女性がいました。女性は10年前ヒットした、プラスチック収納庫の購入者です。女性は収納庫について次のように話します。 「あなたの所で買った収納庫ね、最近引っ張り出すとき、私の体力が落ちたのもあるけど重く感じる。」  この時、「女性が10年歳をとったから重く感じる。」というだけで終わるのではなく、より広い視点でこの言葉を捉えます。 「社会全体で高齢化が進んでいる。だから、この女性のように考えている人は多いのではないのだろうか。」  ここから、モノづくりのアイデアが生まれ、より小さな力で引き出すことができるように、キャスターを4個だったものを6個に増やし、車輪を大きくする等といった改良を加え、「らくらく引くことができる収納庫」が誕生します。
シェフ説明
右から アイリスオーヤマ株式会社の本間勝部長
インタビュアーの田中優至(東北大学修士1年)
東北大学大学院環境科学研究科の高橋弘教授
みやぎGPN事務局長の山岡講子氏

おわりに


 今回の取材を通して、モノづくりを行っていく上で一番大事なことは、生活者の視点に立つことだということをとても感じました。○○を作りたいという構想を前提に作られる商品はごく一部で、その他は消費者やバイヤーの声を聞くことから誕生し、環境へ配慮した商品も、その消費者の声から作られたものでした。 取材では、ニーズの捉え方や商品開発の取り組み方を中心にお話を聞くことができました。それは普段の生活ではなかなか聞くことのできないことでもあり、本稿を通してアイリスオーヤマのモノづくりを読者のみなさまにお伝えすることができれば幸いです。 最後に、お忙しい中、取材に対応頂きました、アイリスオーヤマ株式会社総務部部長、本間勝様に改めて御礼申し上げます。


取材当日、高橋先生の環境教育講座で使う園芸用品の贈呈がありました。



取材メンバー自己紹介
田中 優至

田中 東北大学大学院 環境科学研究科
修士1年
専攻:環境政策
趣味:サッカー観戦、フットサル
一言:モノづくりに対しての考え方について、その分野で成功している企業からお話しを聞くことができ、とても貴重な経験になりました。日常目にする製品にも、1つ1つ様々な背景があると思うので、注目して見てみたいと思いました。


バックナンバー
  1. 第1回 コクヨ東北販売株式会社
  2. 第2回 富士ゼロックス宮城株式会社
  3. 第3回 東北緑化環境保全株式会社
  4. 第4回 日本紙パルプ商事株式会社 東北支社
  5. 第5回 協業組合 仙台清掃公社
  6. 第6回 トヨタ自動車東北株式会社
  7. 第7回 「いつでも見学できる処理工場を」株式会社 安部工業
  8. 第8回 原油高と直接向き合う企業 東邦運輸倉庫株式会社
  9. 第9回 「てんぷら油で車を走らせる」 株式会社オイルプラントナトリ
  10. 第10回 「EMS導入で「心構え」が変わった」 河北新報印刷株式会社
  11. 第11回 「広がるリサイクル部品のネットワーク」 株式会社三森コーポレーション
  12. 第12回 「建設業として環境に取り組む」株式会社深松組
  13. 第13回 驚きの「ライブオフィス」リコー東北株式会社
  14. 第14回 再生資源の価値、分別のコスト 株式会社 佐彦
  15. 第15回 「宮城県民の安全安心、快適な暮らしのための検査機関」(財)宮城県公衆衛生協会
  16. 第16回 「メディアパワーを有効活用して、LED普及に努める」(株)仙台放送L・E・Dソリューションズ
  17. 第17回 「大学生に伝える〜次世代の環境マインドの育成へ向けて〜」大学生活協同組合東北事業連合
  18. 第18回 「日本を支える〜地域建設産業の使命〜」 一般社団法人宮城県建設業協会
  19. 第19回 「お客様に感動される企業を目指して〜環境に優しいリサイクルとは〜」 株式会社サイコー
  20. 第20回 「私達はエネルギー消費の削減が仕事です!」 株式会社エコライフサポート
  21. 第21回 「窒素酸化物(NOx)を低減するエマルジョン燃料」 株式会社エヌ・エフ・ジー
  22. 第22回 「エコな笹氣」の継続」 笹氣出版印刷株式会社
  23. 第23回 「地域の資源循環と環境保全に貢献する仕事」 株式会社 国本
  24. 第24回 「ホテル・ショッピングセンター・農業の取組」仙台ターミナルビル株式会社
  25. 第25回 「ホテル・ショッピングセンター・農業の取組」仙台ターミナルビル株式会社
  26. 第26回  ニーズを捉えろ! アイリスオーヤマのモノづくり   アイリスオーヤマ株式会社

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