エコ座談会 vol.11 2014.12.1 有限会社千田清掃 代表取締役 千田信良氏 みやぎグリーン購入ネットワーク 事務局長 山岡講子

 「第16回グリーン購入大賞」において、「バイオディーゼル燃料で震災復興!〜津波で被害を受けた塩害農地や放射能汚染農地を救う菜の花プロジェクト〜」で審査委員会特別賞を受賞された有限会社千田清掃 代表取締役 千田信良氏にお話を伺いました。

「バイオディーゼル燃料で震災復興!〜津波で被害を受けた塩害農地や放射能汚染農地を救う菜の花プロジェクト〜」概要

地域に密着したバイオディーゼル燃料「以下BDF」製造を通じて、BDFの原料調達の拡大、高品質BDFの製造、BDFの利用拡大・普及に取り組み、地域の企業や行政と協働して、環境に配慮した地域経済の活性化を進めています。BDFの原料調達は、耕作放棄地に菜の花を栽培し菜種の搾取・使用済菜種油の回収をする菜の花プロジェクトに始まり、大崎市と東北地方の飲食店・食品工場などから出る廃食用油の回収、市民が参加する行政施設・スーパーなどの廃食油回収システムへ拡大しています。さらに、高品質BDFの製造によって震災復興工事の震災ガレキ処理施設の建設機械(最新ハイブリッド重機)や発電機などへのBDF利用を可能にし、公用車やバスなどのBDF利用に対する補助金制度を構築するといった取り組みによりBDF利用者を拡大しています。また、様々なイベントを通じてBDFの普及に努めています。例えば、震災時に沿岸部から約1,500名の二次避難者を受け入れた大崎市鳴子温泉で開催されるイベント「復興へ頑張ろう宮城・菜の花フェスティバルin大崎鳴子温泉」では、菜の花プロジェクトの啓発を行っており、希望に満ちた菜の花を通じて震災を乗り越えようと、海と山との交流を続けています。

山岡
このたびは、「第16回グリーン購入大賞」において審査委員会特別賞を受賞、誠におめでとうございます。
千田
ありがとうございます。宮城県環境政策課様やみやぎグリーン購入ネットワーク様にとても良い機会を与えていただきました。また東北大学農学部様や大崎市役所様・大衡村役場様など行政機関の皆様と連携協働させて頂きました。本当に感謝致しております。またBDF事業でお世話になっている廃食用油を提供いただいている皆様、バイオディーゼル燃料を利用いただいている皆様、菜の花を栽培している震災地の農家の皆様のご縁のお陰でこの事業が成り立っております。全ての皆様にご縁に感謝です。
山岡
環境関連の事業に携わったのはいつ頃からですか。
千田
東京の大学を卒業し水処理プラントメーカーに勤務してから25年になりますね。30歳で地元古川に戻り、協業組合古川清掃公社に入社し廃棄物の仕事に携わりました。平成16年に協業組合古川清掃公社を分社化し、有限会社千田清掃を設立し現在に至っています。大崎地域広域行政事務組合様より一般廃棄物の収集運搬業の許可を頂き大崎市中心に営業しています。また大崎市下水道課様より委託を受けて合併浄化槽の保守点検業務を行っています。

未来を担う子どもたちに環境教育

山岡
業務以外に社会貢献度が高い取り組みをしていらっしゃいますね。環境会議所東北が主催する「環境甲子園」に応募された加美農業高校の先生から以前伺いましたところ、御社が加美農業高等学校や古川工業高校にアドバイスされていらっしゃると。それは会社あげて応援しているのですか。
千田
はい、そうですね。加美農業高校の先生が同じ町内会なのです。指導者の先生がすばらしい方です。加美農業高校、小牛田農林高校、古川工業高校さんへ出向き環境教育出前講座や、職業体験の受け入れなど継続しています。先日、古川工業高校から感謝状をいただきました。職業体験では生徒達に社内清掃からラジオ体操、朝礼など社会人としての基本を体験して頂きました。最近は、職業体験学習に地元の小中学生も受け入れています。
山岡
高校はもちろんのこと、小中学生を中心に環境教育をしないと裾野が広がりませんからね。素晴らしいことです。
千田
できるだけ社員と一緒に未来を担う子どもたちの環境教育に力を入れたいと思っています。小さな事業ですが、皆さんに興味をもってもらえればと積極的に活動しています。ちょっとしたことから関心をもってもらい、リサイクルに繋がるようにと願っています。また、子供達だけでなく、公衆衛生組合や各町内会の視察も受け入れています。
山岡
かなりのマンパワーが必要になると思いますがいかがでしょうか?
千田
はい、かなりのパワーが必要です。何事も諦めず継続することに意義があります。平成17年にバイオディーゼル燃料をはじめて10年近くなります。本当に素人集団でしたが、勉強しながら外部の経験者の皆さんのご協力を頂きながらここまできました。社員みんなでこれからは恩返しをしていかなければならないなと常に話し合っています。

廃食油・バイオディーゼル燃料(BDF)

山岡
廃食用油について伺います。収集し燃料にするまで課題が多いと思いますがいかがでしょうか?
千田
特に廃食油の回収では鳴子温泉旅館の料理長さんとご縁があり、その料理長さんから各温泉地の旅館、ホテルをご紹介頂き廃食油の回収をしています。地球温暖化防止にご協力してくださいとお願いし、ご縁(5円)に感謝という意味も込めて、量に関わらず1回5円という買い取りで、多くの方からご協力いただいております。中でもサトー商会様から、国分町の飲食店様を沢山ご紹介いただきました。本当に感謝です。
山岡
一般家庭の油はどうされていますか。
千田
大崎市や大衡村に関しては、ペットボトルに詰めてもらい、各総合支所や公民館・集会所の回収ボックスで定期的に回収しています。
山岡
みやぎ生協さんも「油終の美」というキャッチフレーズで、500mlのペットボトルにつめたものを店頭で回収していますね。
千田
はい。みやぎ生協様からも一部弊社で回収しています。
山岡
使用済油は出るからもっと回収の輪を広げたいところですね。
千田
数年前までは県内でも二十数社が取り組んでおり廃食油の取り合いになっていました。しかし、高品質の燃料製造が難しく多くの事業所が事業の中断を余儀なくされました。現在では宮城県環境政策課様やオイルプラントナトリ様のご尽力により、みやぎBDF連絡協議会も設立され品質向上等の勉強会をしています。また今後はみやぎBDF連絡協議会のメンバーと共に市町村と連携して、回収のルールの確立、製造の部分での協働組織化をして、公共工事や公用車に使ってもらう仕組みづくりを確立したいと考えています。
山岡
県内の一般家庭や業務用の廃食油の有効活用が徹底されたら環境には本当に良いことですね。BDFは、冬の期間、エンジンがかかりにくいことはないですか。
千田
はい。現在弊社では冬期間エンジンがかかりづらいという現象は起きていません。10年前は今のような製造プラントではなかったのでエンジントラブルもありました。国では BDFの品質基準を定めています。弊社では自社分析や第三者機関に分析を依頼し品質保持に努めています。
特に弊社では職員が試行錯誤しながら自動運転ではなく完全に手動運転で、面倒だけれど製造工法も改善を重ね品質の良いバイオディーゼル燃料を作っています。お酒でいえば杜氏の方が大吟醸酒を作るようなイメージで製造しています。
山岡
大吟醸酒を作る感覚でバイオディーゼル燃料を作っているとは、すごいことですね。グリセリンはどうされていますか。
千田
グリセリンは前田道路株式会社様に売却しています。アスファルトを作るときに重油を燃やし、乾燥させるときにグリセリンも一緒に燃料として燃やしています。菜種の絞りかすも農家に分けてやり直接畑に入れて肥料にしているので、無駄な物は何もありません。初めの頃は回収した容器に天ぷら油の他に生ゴミもいっぱい入っていました。ゴミを取り除くのにご協力くださいと1件1件お願いして周りました。ゴミが混じっていると品質の良いBDFが作れないことをわかってもらい、今では不純物がほとんど入っていません。

菜の花プロジェクト

山岡
処理する会社だけが必死にやるのではなく、廃食油を出す側の協力があるからこそ、出荷をするところでいいものが作れるということですね。そして、菜種の搾りかすは農家に還元している。まさしく循環ですね。搾油したものはどのようにされていますか。
千田
現在、大崎市内と南相馬市内の農家から菜種を購入しています。搾油された菜種油は、直接BDFにしています。東日本大震災後、東京電力の放射能汚染問題で、南相馬の農家の皆さんは窮地に追いやられています。除染されていない田んぼで米を作っても風評被害で売れないので、菜の花を栽培しています。弊社のBDFプラントは、経産省の許可を得た軽油とBDFを混ぜることが可能な設備です。軽油と混合されたBDF燃料は南相馬の農地の除染作業を請け負う清水建設の元で利用されています。その燃料で農地除染し、また菜の花を栽培して循環しています。今後とも継続して福島の復興にお役に立てればと考えています。
山岡
そうです。継続こそが大事ですね。汚染された土壌を改良、除染してその作業のためにはエネルギーが必要。自らエネルギーの元となる菜の花を植え回収し油として還元する。南相馬としても千田清掃さんにしても採算はどうなのでしょうか。
千田
南相馬の方たちは、損しなければいいいと言っています。除染しなければ米は作れないので、農地が雑草に覆われるよりは菜の花畑に転作して、国から補助金をもらい、なんとかやっています。本当は収穫量が増えればいいのですが、元々水田のため水はけが悪いので、なかなか収穫量が増えないのが現状です。

公的機関・公共工事にも使われるBDF

山岡
難しい問題ですね。BDFは公共工事にも使われているそうですが、どのように使われているのですか。
千田
弊社の燃料は気仙沼市の高台移転造成工事でゼネコンの大成建設様や、震災がれき処理の際は大林組様・大成建設様に供給させて頂いております。BDFの品質が良いためこのような公共工事でハイブリッド建設機械や発電機等に使用され、一度も故障を起こしていないことは大変な実績になっています。今後、県内の公共工事に広く使ってもらえるように、宮城県内のBDF事業所の皆さんと連携して仕組み作りをしたいと考えています。
山岡
それはどんどん拡大するといいですね。CO2削減の大いなる寄与になりますしね。
千田
弊社1社だけでは到底無理なので連携が必要です。同じ考えを持った皆さんと協力し、宮城県さんの指導を頂き協同で事業が出来ればいいなあと考えています。ただし、決して儲かる事業ではありません。しかし、県民皆さんの意識を変え環境立県として国をリードして行くことは可能だと考えます。弊社でもこのBDF事業を通じ社員の意識が変わったことや会社の企業イメージ、ブランディングの面では大変良かったと思っています。
山岡
需要と供給の面ではどうですか。
千田
BDFは地元大崎市や大衡村の公用車やミヤコーバスが運行する「大崎市民バス」、地元の廃棄物処理業者、民間バス会社、建設会社に利用されています。ネクスコ東日本古川管理事務所様でも長者原サービスエリアのレストランから排出された廃食油をリサイクルしたBDFを今月から使ってもらっています。またNTT東日本古川営業所様やユアテック古川営業所様でも導入に向けて検討していただいております。弊社ではまだまだ供給に余裕がありますので、皆さんよろしくお願いします。

社員教育・チームの輪

山岡
需要と供給のバランスと採算がとれるビジネスになればいいですね。それぞれが勉強してウィン・ウィンの関係になることが望ましいですよね。環境は儲からないといわれていましたが、経営も持続可能にするためには採算も重要です。社員の意識を高めることは環境というキーワードで一丸となって同じ方向を見ることが大事ですね。
千田
はい、私は経営の中でチームの輪を一番大事にしています。弊社は先代より社員が気持ちを一つにしているので、BDF事業やソーラー事業等の新しい意見が自発的に出てきますが、一番重用しているのは社内の清掃活動、美化活動です。社員と一緒に朝早く持ち場の清掃活動をしています。バキュームカーは素手で触れるくらいピカピカでして、汚い仕事をするからこそ、市民に不快感を与えないように車は毎日洗車して奇麗にしています。家では子どもに対しても片付けが教育になりますからね。当たり前のことを難なくこなしていることがここに結びついたと思います。社員の物心両面の幸福を望み、社員みんなと会社を作り上げてこれたお陰でこの度のグリーン購入大賞審査委員会特別賞の受賞につながったと思っています。
山岡
社長の考え方が定着し、特に意識しなくても自然な活動が継続されているのですね。
千田
従業員40名の小さな会社ですが、部署が違うとコミュニケーションが取れなくなるので、毎月1回くじ引きでグループを作り、テーマを与えてディスカッションし、お互いの考え方を分かり合う勉強会を開催しています。批評はしない、褒めるのが基本です。その成果があり、社内の空気が良くなり、様々な面も良くなりました。また、社員募集でも大企業には叶いませんが、合同企業説明会にも積極的に参加を続けています。中小企業は、諦めずたゆまず努力していかないと良い人材は来ない。参加し続けることによって1人でも、わが社に興味を持ってくれて、入社してくれるようになると信じています。そして、入社後は様々な勉強会や飲み会を通じ社員教育に力を入れています。
山岡
どのようにするかの目標を掲げたからでしょうね。
千田
一度きりの人生。みんなに幸せになってもらいたいからですね。利益はみんなで作るもの。そして分け合うもの。全役職員40名が協力して、祖父の時代から三代目として社訓、家訓を伝統として持続していこうと思います。弊社は55歳過ぎても中途採用しており、60歳で課長に昇進する方もおります。定年は65歳ですが健康であれば70歳でも雇用します。また、待機保育児童の問題がありますが、将来社内に保育所を立ち上げ、働く女性社員の手助けになれたらいいと考えています。トップ自ら人の話をよく聞いたり、社員一人一人と面接して話を聞き、それぞれの問題点を解決していき、何か一助になれればと考えています。
山岡
従業員の話を聞くことは、なかなかできることではないですから、素晴らしいですね。他に、地域と連携して取り組んでいることはありますか。

社会貢献・市有地活用型大規模太陽光発電事業さくらソーラーパーク

千田
今年で5回目を迎える「復興へがんばろう宮城・菜の花フェスティバルin大崎鳴子温泉」の実行委員会事務局として携わっています。鳴子温泉には震災時に沿岸部から約1500名の二次避難者を受入れました。身も心もボロボロになりながら九死に一生を得た皆様を勇気づけよう、元気にさせようという地元有志の賛同を得て開いたイベントです。幸せの希望に満ちた黄色の菜の花畑を通じ、海と山との交流を通して震災を乗り越えようと現在も交流を続けています。また、地元大崎市で毎年開催されるイベント(産業フェアー・環境フェアー・夏祭り・秋祭り・働く車大集合・菜の花フェスティバル)を通じ広く市民へのグリーン購入等の資源循環型社会構築の啓発活動を行っています。ご縁を大切にして「世のため・人のため・地球のため」これからも菜の花プロジェクトを通じ環境学習や様々な形で、交流・連携を図り環境負荷の少ないバイオディーゼル燃料でグリーン化に貢献していこうと思います。
それから、平成26年10月に完成した大崎市田尻の市有地活用型大規模太陽光発電事業「さくらソーラーパーク」にも取り組んでいます。千田清掃はじめ大崎市内の4社で「おおさき未来エネルギー株式会社」を設立しました。これは、大崎市と提携した太陽光発電施設ですが、4,880枚の太陽光パネルを設置して年間120万kwhの発電量を見込んでいます。建設工事の燃料はバイオ燃料を使い、未来を担う子ども達のために発電施設を環境エネルギー教育の場として公開もします。
山岡
素晴らしい連携であり、地域貢献ですね。
千田
これからもバイオディーゼル燃料や菜の花プロジェクトを通じ、グリーン購入の普及や未来の子どもたちのための環境教育、震災復興に少しでもお役に立てるように頑張ってまいります。
山岡
はい、ますますのご活躍を期待しています。本日は大変ありがとうございました。 (終了)

有限会社千田清掃
宮城県大崎市古川狐塚字西田77
電話 0229-27-3151(代)
URL http://www.clean77.jp/

前のページへ戻る>>


ページの先頭にもどる

Copyright (C) 2006 Miyagi Green Purchasing Network. All rights reserved.
掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます。
リンクについて